病気の早期発見以外のあまり知られていない健康診断のメリットについて
こんにちは、勤務獣医師の中西 亮太です。
梅雨が始まり、じめっとした天気が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
おかげさまで武庫川動物病院での勤務を開始して1ヶ月が経過しました。予防シーズンということもあり、多くの飼い主様の診察を担当させていただく機会に恵まれました。
私はワクチン接種やフィラリアの検査にいらっしゃった健康なワンちゃん、猫ちゃんの飼い主様にも積極的に健康診断をおすすめしています。
理由は主に以下の2つです。
①病気を早期に発見し、必要であれば早期に治療を開始するため
②その子の「正常値」を知るため
①に関してはわかるけど、②に関してはピンと来ないという方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は「正常値」に関するお話しをしたいと思います。
皆様は健康診断の結果用紙に「正常値」という言葉が書かれていないことをご存知でしょうか?
実際の健康診断結果用紙を見てみましょう。
確かに「正常値」ではなく、「参考基準値」と書かれています。
実はこの「基準値」はたくさんの健康な子から得られた結果をもとに統計学的に算出したあくまで「目安」であり、「正常値」ではありません。
基準値の詳しい算出方法はここでは割愛しますが、健康な子のうち、極端に高い結果になった2.5%の子と極端に低い結果になった2.5%の子の結果を除いた残りの95%のワンちゃんの結果が基準値となります。
このような算出方法のため、ほとんどの健康な子は異常がなければこの基準値内の結果になります。
しかし逆に言うと、5%、すなわち20頭に1頭の子は健康であっても基準値より高かったり低かったりする可能性があります。
健康であれば、基準値を外れていたとしてもその子にとってはその数値が「正常値」なのです。
健康診断の結果説明をする時、獣医師が「この数値は基準から外れているけど問題ありません」と言うことがあるのはこれが理由です。
先ほど私が健康診断をおすすめする理由に挙げた「正常値を知る」というのは「健康な時のその子の数値を知る」ということです。
健康な時の結果を知っておくことで、後々その子の具合が悪くなってしまった時に真価が発揮されます。
ここで例を挙げます。
血液検査項目の1つにPCVというものがあります。これは血液全体に対する赤血球の割合を示すもので、貧血になると数値が下がることが多いです。
この数値の基準値は検査機器にもよりますが、ワンちゃんで37~55(単位:%)と設定されています。
あるワンちゃんが体調が悪くなった時に血液検査を実施し、このPCVが37%だったとしましょう。
確かに基準値内ではありますが、もしこのワンちゃんが健康な時に測定した数値が60%であれば、37%まで低下しているわけですから、貧血が体調不良の原因の1つになっている可能性が出てきます。(※あくまで例ですので、実際には色々な可能性が考えられます)
このように、体調が悪くなった時の身体の中の変化を捉えるためには、その基準となる「正常値」が非常に重要になのです。
皆様の大切なワンちゃん、猫ちゃんの「正常値」をよかったら一度知ってみませんか?
当院では飼い主様のニーズに合わせた様々な健康診断をご用意しております。
ご希望の方は当院までぜひご相談ください。
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【西宮市 開業獣医師会所属】
【犬、猫、うさぎ、ハムスター】
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